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2022年6月8日水曜日

何をや語らん、白き仮面


みなさま、こんにちは。


ただいま開催中の特集
 Asian Breeze - 使う、飾る、祈る - 
より、一点 ご紹介致します。


世界最多の、大小 一万以上の島々からなる、東南アジアの一国、インドネシア。

伝統芸能も、あまた存在します。

中でも、ジャワ島とバリ島で盛んな 仮面舞踏 “トペン(topeng)”。

その舞いで使われる仮面も トペンと呼ばれます。

儀礼のときに奉納され、その出来如何が儀礼の成功に関与する、とも。

発祥は古く、9世紀以降の文献には著わされています。

演じられる内容は、多くはジャワやバリの古典・叙事詩から引用されている物語です。

リーフレットNo.48 W14 D9.5 H17(台座含まず)¥154,000‐税込

さて、今回紹介致します この仮面は、造形様式・表現から、どうやら

ジャワ島 西部北海岸の町、チルボン(Cirebon)からやってきたようです。

“トぺン・チルボン”。

5つの性格の異なる仮面を順番に付けて踊ります。

男性の踊り手もいますが、

継承者は、女性と定められているそう・・・。

※「パンジ物語」は、ユネスコの世界無形文化遺産の、

 “世界の記録の一覧”に登録されました。       

15世紀頃に編纂された、ジャワの英雄「パンジ(Panji)王子物語」に登場する、

パミンド(Pamindo)という名の仮面。

人の顔より少し小さく、きゅっ、として。

見れば見るほど、気品あるお顔立ちに、吸い込まれていきます。                       

       

豊かな髪のながれ。

うっすらと開けた、切れながの眼。見る角度によって、瞳が視線を感じさせます。

赤い唇は、なにを言おうとしているのか…?

※裏はこんな感じです…

木材を丁寧に薄く彫り、彩色されています。
とても軽くて、繊細。

国立民族学博物館(みんぱく) のコラムに、こんな記事がありました。

      …………………・…………………

盗まれた仮面 ~インドネシア~  2015111日刊行

福岡正太

ある時、インドネシアの友人にとても残念なニュースを聞かされた。彼の義理の母親は、トペン・チルボンとよばれる仮面舞踊の踊り手で、先祖から伝えられた仮面をとても大事にしていた。ところが、その仮面が盗まれてしまったのだという。その数日前、ある人物が踊り手の家を訪ね、仮面をぜひ買い取らせて欲しいと言ったそうだ。もちろん、ことわったのだが、その男は実物の仮面を見せてもらいながら、保管場所を確認したのだろう。夜中に押し入って、仮面を盗んでいったようだ。家族の1人の女性が物音に気付いたが、怖くて出て行けなかった。その男が残していった連絡先は、実在しなかったという。

トペン・チルボンは、ジャワ島西部の北海岸の町チルボンとその周辺に伝えられている。この地域で伝統的な芸能を継いできた人々は、家系を大切にしている。良い踊り手になるには、単に踊りがうまいだけではなく、観客を魅了し、災いを払う力をもたなければならない。そうした力は、修行により身に付けると同時に、血筋により、祖先から伝えられるものでもある。名手と言われる踊り手の家系図をさかのぼると、一様に、この一帯に芸能を広めた伝説的な聖人にたどりつく。それは踊り手が強い力をもつことの証しになっているのである。

祖先から伝えられる力は、芸とともに伝えられる仮面や楽器などにも宿っている。盗まれた仮面も、祖先から継いだ大事なものだった。木曜の夜には、必ず香を焚いてささげるようにしていた。何かの事情で香を焚かないと、仮面をしまった箱の中でガタガタと音がし、仮面が怒ることもあったという。また、仮面を削って得られる粉には、薬としての効能もみられたそうだ。

仮面についての不思議な話を聞きながら、それらを写真に収めたのは、今から25年前のことである。実物が盗まれてしまった今、踊り手一家では、この時の写真を大切にしているという。仮面の行方について占ってもらったところ、仮面はあるべきところに戻るだろうと告げられたそうだ。私たちも、もし日本でこの仮面が売りに出されたり、博物館に展示されたりしていたら、すぐに知らせて欲しいと頼まれている。すでに盗まれてから7年近くがたつが、仮面が踊り手一家の手に戻ることを祈りたい。正統な継承者の手にあってこそ、仮面に宿る力が発揮されるのだから。

福岡正太(文化資源研究センター准教授)

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ますます興味が深まる、トぺン・チルボン。


よくぞ、ここまでいらっしゃいました。

みなさま是非、お店で出会って下さいね。

故郷 インドネシア、お隣のバリの絵布と共に。


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