ただいま開催中の特集
Asian Breeze - 使う、飾る、祈る -
より、一点 ご紹介致します。
伝統芸能も、あまた存在します。
中でも、ジャワ島とバリ島で盛んな 仮面舞踏 “トペン(topeng)”。
その舞いで使われる仮面も トペンと呼ばれます。
儀礼のときに奉納され、その出来如何が儀礼の成功に関与する、とも。
発祥は古く、9世紀以降の文献には著わされています。
演じられる内容は、多くはジャワやバリの古典・叙事詩から引用されている物語です。
リーフレットNo.48 W14 D9.5 H17(台座含まず)¥154,000‐税込 |
ジャワ島 西部北海岸の町、チルボン(Cirebon)からやってきたようです。
“トぺン・チルボン”。
5つの性格の異なる仮面を順番に付けて踊ります。
男性の踊り手もいますが、
継承者は、女性と定められているそう・・・。
※「パンジ物語」は、ユネスコの世界無形文化遺産の、 “世界の記録の一覧”に登録されました。 |
15世紀頃に編纂された、ジャワの英雄「パンジ(Panji)王子物語」に登場する、
パミンド(Pamindo)という名の仮面。
人の顔より少し小さく、きゅっ、として。
見れば見るほど、気品あるお顔立ちに、吸い込まれていきます。
豊かな髪のながれ。
うっすらと開けた、切れながの眼。見る角度によって、瞳が視線を感じさせます。
赤い唇は、なにを言おうとしているのか…?※裏はこんな感じです… |
国立民族学博物館(みんぱく) のコラムに、こんな記事がありました。
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盗まれた仮面 ~インドネシア~ 2015年11月1日刊行
ある時、インドネシアの友人にとても残念なニュースを聞かされた。彼の義理の母親は、トペン・チルボンとよばれる仮面舞踊の踊り手で、先祖から伝えられた仮面をとても大事にしていた。ところが、その仮面が盗まれてしまったのだという。その数日前、ある人物が踊り手の家を訪ね、仮面をぜひ買い取らせて欲しいと言ったそうだ。もちろん、ことわったのだが、その男は実物の仮面を見せてもらいながら、保管場所を確認したのだろう。夜中に押し入って、仮面を盗んでいったようだ。家族の1人の女性が物音に気付いたが、怖くて出て行けなかった。その男が残していった連絡先は、実在しなかったという。
トペン・チルボンは、ジャワ島西部の北海岸の町チルボンとその周辺に伝えられている。この地域で伝統的な芸能を継いできた人々は、家系を大切にしている。良い踊り手になるには、単に踊りがうまいだけではなく、観客を魅了し、災いを払う力をもたなければならない。そうした力は、修行により身に付けると同時に、血筋により、祖先から伝えられるものでもある。名手と言われる踊り手の家系図をさかのぼると、一様に、この一帯に芸能を広めた伝説的な聖人にたどりつく。それは踊り手が強い力をもつことの証しになっているのである。
祖先から伝えられる力は、芸とともに伝えられる仮面や楽器などにも宿っている。盗まれた仮面も、祖先から継いだ大事なものだった。木曜の夜には、必ず香を焚いてささげるようにしていた。何かの事情で香を焚かないと、仮面をしまった箱の中でガタガタと音がし、仮面が怒ることもあったという。また、仮面を削って得られる粉には、薬としての効能もみられたそうだ。
仮面についての不思議な話を聞きながら、それらを写真に収めたのは、今から25年前のことである。実物が盗まれてしまった今、踊り手一家では、この時の写真を大切にしているという。仮面の行方について占ってもらったところ、仮面はあるべきところに戻るだろうと告げられたそうだ。私たちも、もし日本でこの仮面が売りに出されたり、博物館に展示されたりしていたら、すぐに知らせて欲しいと頼まれている。すでに盗まれてから7年近くがたつが、仮面が踊り手一家の手に戻ることを祈りたい。正統な継承者の手にあってこそ、仮面に宿る力が発揮されるのだから。
福岡正太(文化資源研究センター准教授)
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ますます興味が深まる、トぺン・チルボン。
よくぞ、ここまでいらっしゃいました。
故郷 インドネシア、お隣のバリの絵布と共に。 |
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